← ブログ一覧
稼ぎ方9分で読めます

配達バイクの選び方
「二種は速いから」で選ぶと外す

A

Dice

現役配達員が運営

この記事の目次
  1. 1.まず3つの区分を正確に
  2. 2.「速さ」の話を先に片付ける
  3. 3.実時給に一番効くのは積載
  4. 4.積載の次に効くもの
  5. 5.タイプ別の傾向
  6. 6.配達以外の基準も、正直あっていい
  7. 7.まとめ
  8. 8.出典

配達のバイク選びでは「原付二種は速いから稼げる」とよく言われます。二段階右折がいらない、法定速度が60km/hになる、幹線道路を流せる——たしかにその通りです。

ですが、現場でしばらく走ると、この「速いから稼げる」という説明が実感とずれてくる場面があります。速く走れること自体が時給に効く割合は、思ったほど高くないように感じます。しかも速さは事故・違反のリスクと表裏です。

では何で選ぶのか。結論から言えば、実時給に効いてくるのは、速さより積載の部分ではないかと思います。

まず3つの区分を正確に

2025年4月から「新基準原付」という区分が加わり、原付は実質3種類になりました。ここを混同すると選び方を誤りやすいので、先に整理します。

従来の原付一種(〜50cc)新基準原付(出力制御125cc)原付二種(フルパワー125cc)
必要な免許原付・普通免許原付・普通免許小型限定普通二輪以上
法定速度30km/h30km/h60km/h
二段階右折必要必要不要
二人乗り不可不可可(免許取得1年〜)
車体サイズ小さい大きい(125ccベース)大きい
ナンバーピンク

新基準原付は「総排気量125cc以下・最高出力4.0kW以下に制御した二輪車」で、原付免許のまま乗れます。排出ガス規制で従来の50ccが作りにくくなった事情を受けた区分です。車体は125ccクラスで大きいのに、扱いは原付一種のまま——ここが後で効いてきます。

「速さ」の話を先に片付ける

二種の分かりやすいメリットは、法定速度30km/hと二段階右折の縛りがないことです。ただしこれが実時給にどれだけ効くかは、稼働エリアによって大きく変わります

ここで注意したいのが、二段階右折は「交差点の多さ」ではなく「大通りの多さ」で決まる点です。原付一種の二段階右折が義務になるのは、信号(交通整理)のある、車両通行帯が3以上の交差点に限られます(このほか「二段階右折」の標識がある交差点も対象で、逆に「小回り」の標識がある交差点は除外されます)。つまり細い道が多いエリアは、交差点自体は多くても二段階右折はあまり発生しません。逆に、片側3車線級の幹線道路をまたいで右折する機会が多いエリアや、1案件あたりの移動距離が長いエリアでは、二種の「二段階右折がいらない・速度が出せる」機動力が効いてきます。

短距離高密度で細街路を回すようなエリアでは、法定速度や二段階右折の差はそれほど時給に反映されません。信号待ちと店・玄関での滞在時間の方が、走行速度より支配的になる場面が多いためです。

ただし速さには、稼ぎとは別に安全面の側面があります。原付一種で問題になりやすいのは「遅くて稼げない」ことより、車の流れに乗れないことです。30km/h制限で幹線道路を走ると、後続車との速度差で車線変更や追い越しがしにくく、かえって危ない場面が出てきます。稼ぎへの寄与は小さくても、流れに乗れる余裕という意味では速度・パワーも無視はできません。

法律上の扱いは上の表の通りで、順守を前提にすればエリアごとに効率差は出ます。ただ「速く走れる=稼げる」と単純化すると、選び方を見誤りやすいです。速さはあくまで数ある要素の一つで、それも稼働エリア次第、というのが現場に近い見方ではないでしょうか。

実時給に一番効くのは積載

速さより効いてくるのが積載量です。理由はシンプルで、積める量によって取れる案件が変わるからです。

  • 品数の多い案件
  • ピザや寿司など容器の大きい案件
  • ダブル・トリプルなどの複数案件

こうした「単価の高い案件・まとめて運べる案件」を受けられるかどうかは、積載力に大きく左右されます。積めなければ、鳴っても取れません。燃費のよさより、案件を選べることの方が稼ぎには効く——現場ではこの感覚を持つ人が多いように思います。

積載は「車体 × リアボックス」で決まる

ここで重要なのが、積載は車体そのものだけでなく後ろに積む箱で大きく変わるという点です。

まず効くのが箱の容量です。リアボックスは容量(リットル)で選べ、大きめ(たとえば50L級)を積めば、品数の多い案件や大きな容器、ダブル・トリプルにも対応しやすくなります。取れる案件の幅を広げたいなら、大きめを選んでおくと安心かもしれません。

さらに、キャノピーのような荷台が広く積載に強い車両なら、100Lを超える宅配ボックスを載せることもできます。どこまで大きい箱を積めるかは車体側の余力(荷台の広さ・積載可能重量)で決まるので、ここでも「車体 × 箱」の相乗が効いてきます(容量とサイズの目安は装備の話になるので、別途詳しく扱います)。

そして車体が大きいほど、この積み増しがしやすくなります。たとえばPCXクラスの車体なら、リアボックスに加えてリアシートに固定バッグを載せて容量を増やす、といった運用ができます。車体の小さい従来の50ccでは、この「箱+シート上バッグ」の積み増しは物理的に難しくなります。

効くのは車体の大きさだけではありません。車体の重さも積載の安定に関わります。軽い車体に大きなリアボックスを積むと、荷物や発進の勢いで前輪が浮きやすくなり(いわゆるウィリー気味になり)、かえって扱いにくくなることがあります。ある程度重量のある車体の方が、大きな箱を安定して積めるという面もあります。

新基準原付が効いてくるのはここです。車体は125ccクラスで大きいので、二種と同じように積載を盛れる余地があります。つまり「二種の大きい車体(=積載の伸びしろ)を、原付免許の手軽さで手に入れる」という選択肢が生まれました。

ただし新基準原付は最高出力が4.0kWに制御されているため、坂道や加速では素のパワーに欠けます。積載力は近くても、走りの余裕は二種に譲る、というトレードオフです。

積載の次に効くもの

積載を軸に据えたうえで、次に効いてくる要素を挙げます。

雨対応

屋根付き三輪(ジャイロキャノピーなど)の分かりやすい強みは雨です。屋根があると雨の日も稼働しやすく、雨天は注文が増えて単価も上がりやすいため、時給に反映されやすいです。加えて、体が濡れにくいぶん疲労やトラブルも減らせます。雨を「稼ぎ時」に変えられるかどうかは、車両で差がつく部分です。

燃費

燃費は「走行距離 × そのときのガソリン価格」で決まる燃料費、つまり実時給の分母に効きます。配達は毎日まとまった距離を走るので、燃費の差は月単位・年単位で着実に積み上がっていきます。燃費のよい車種を選べば、走れば走るほど手元に残る額が変わってくる——派手さはないぶん、日々じわじわ効く固定費の削減として侮れません。

疲労・快適性

長時間稼働では疲れにくさも効きますが、ここは車種・体格・稼働スタイルで変わり、一概には言えません。屋根付きは風雨を防げるぶん疲れにくいという声はあるものの、車種を横断して比較した確かなデータは多くありません。ここは「人による」と正直に置いておきます。

タイプ別の傾向

車種を個別に評価するより、タイプで捉える方が選びやすいです。

スクーター型(PCXなど)

積載・取り回し・燃費のバランスがよく、配達の定番です。車体が大きめで、リアボックスにシート上バッグを足すような積み増しがしやすいのが魅力。シート下のメットイン収納も、貴重品や予備の装備をしまえて便利です。

ビジネスバイク型(スーパーカブ、ハンターカブなど)

維持費の安さと燃費のよさが魅力です。カブ系は燃費に定評があり、荷物を積む前提で作られているため積載もしやすい。派手さはありませんが、堅実に長く使いたい人に向きます。

屋根付き三輪型(ジャイロキャノピーなど)

雨に強く大積載。屋根があるぶん雨も夏の直射日光も防げて、雨天稼働を武器にできます。スマホの雨対策が要らないのも地味な利点です。

この型で配達員によく選ばれているのが「ミニカー登録(青ナンバー)」です。ジャイロキャノピーなどの50cc三輪は、輪距が0.5mを超えるなどの条件を満たすとミニカーとして登録でき、道路交通法上は普通自動車の扱いになります。すると普通自動車免許で乗れて、法定速度は60km/h、二段階右折も不要、ヘルメットの着用義務もなくなります(安全のため着用は推奨します)。屋根付きの快適性に加えて、原付一種の速度・右折の縛りが外れるため、フーデリ用途で人気があります。

ただしエンジンは50ccのままでパワーに余裕はなく、乗車定員は1名(二人乗り不可)。車体が高く取り回しに癖があり、価格も上がります。現場では「故障が多い」「状態のよい中古が減ってきた」という声もあり、どちらかというと稼働量の多い人向けです。

配達以外の基準も、正直あっていい

ここまで稼ぎの軸で書いてきましたが、現場ではそれだけで選んでいないのも実際のところです。デザインが気に入っている、二人乗りができる(二種なら免許取得1年以降は可能で、屋根付き三輪にはない利点です)——そうしたプライベートでの使い勝手も、毎日乗る相棒を選ぶうえでは無視できません。完全な最適化だけが正解ではない、というのは正直に言っておきます。

まとめ

選ぶ軸効き方
積載(最重要)取れる案件の幅が変わる。車体サイズ × リアボックスで決まる
雨対応屋根付きは雨を稼ぎ時に変えられる
燃費実時給の分母。積載ほどではないが効く
速さエリア次第。リスクとも表裏
疲労人による。断定はしにくい

「二種は速いから」で選ぶと、一番効くはずの積載を見落としがちです。まず積める量で取れる案件がどう変わるかを考え、そのうえで雨・燃費・免許のハードルを見比べる——遠回りに見えて、これが結局は堅実な選び方だと思います。新基準原付という選択肢が増えた今、「大きい車体を原付免許で」という組み合わせも検討に入ります。


出典

※本記事は一般的な情報の整理です。車両区分や交通ルールの適用は状況により異なります。交通ルールは必ず順守してください。

収支・稼働をまとめて記録

スクショを撮るだけで売上・時給・稼働時間を自動集計。配達員向けアプリ Aide は無料で始められます。

無料で使ってみる