通れると思ってた道が反則金に
自転車の一方通行とナビの罠ナビが出す道は、合法に通れる道とは限らない
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現役配達員が運営
この記事の目次
配達でよくあるのが、ナビが「一通だから」と大きく迂回させてくる場面です。
実際、車のナビは基本的に一方通行を守ってルートを組むので、逆走そのものを提案してくることは多くありません。むしろ遠回りになるほうが普通です。
ただ、その一通の入口に小さな補助標識が出ていて、実は自分の車両なら通っていい——ということがあります。「自転車を除く」「二輪を除く」、あるいは「平日の朝だけ」といった条件です。
ナビはそこまで読んでいないので、遠回りしなくていい場面で遠回りさせられたり、逆に条件を見誤って本当はアウトの時間に突っ込んだりする。
これまでは、うっかり逆走しても口頭注意で済むことが多かった。ですが2026年4月から、自転車も「青切符」の対象になりました。件数を追って一日に何十回と交差点を通る配達では、"うっかり"の露出も人より多くなります。
この記事は、ナビ任せでは拾えないその"条件"を、自分で読めるようにするための標識の話です。
一方通行の逆走は「通行禁止違反」=反則金6,000円
まず前提の整理から。一方通行は、道路交通法でいう「通行禁止」(第8条1項)にあたります。逆走はこの通行禁止違反で、自転車の場合の反則金は6,000円です。
2026年4月1日から、自転車にも交通反則通告制度(いわゆる青切符)が導入されました。16歳以上が対象です。参考までに、身近なところの反則金はこのあたり。
| 違反 | 反則金 |
|---|---|
| 通行禁止違反(一方通行の逆走など) | 6,000円 |
| 信号無視 | 6,000円(点滅信号は5,000円) |
| 指定場所一時不停止等 | 5,000円 |
| 携帯電話使用等(保持) | 12,000円 |
金額の大小より、「これまで注意で済んでいた行為に、はっきり値札がついた」という変化のほうが大きいと思います。逆走は、その値札がついた行為のひとつです。
カギは「補助標識」──"誰が"除かれているかを読む
ここからが本題です。一方通行の標識には、下に小さな補助標識が付いていることがあります。「自転車を除く」というアレです。これがあると、その車種だけは逆走が認められます。
ここで一つ注意が要ります。逆走しそうになったとき実際に目に入るのは、青い矢印の「一方通行」ではなく、丸い赤地に白い横棒の「車両進入禁止」であることが多いという点です。一方通行は入口に立つ標識で、出口側(=逆走で進もうとする側)には対になる車両進入禁止が立ちます。
この2つには、原則として同じ補助標識が付く運用になっています。つまり、丸い赤の標識を見かけたら、その下の補助標識が「自分の車両の逆走可否」を教えてくれる、と考えて大丈夫です。
ややこしいのは、この補助標識が一種類ではないこと。設置するのは各都道府県の公安委員会で、書き方にバリエーションがあります。ここを読み違えると、除かれていないのに「自分はセーフ」と思い込むことになります。
| 補助標識の表示 | 逆走できる車両 |
|---|---|
| 自転車を除く | 自転車のみ(原付・二輪は不可) |
| 軽車両を除く | 自転車などの軽車両(原付・二輪は不可) |
| 自転車・原付を除く | 自転車+原付(大型バイクは不可) |
| 二輪を除く/二輪・自転車を除く | 自転車+二輪(バイク)全般 |
ポイントは、「自転車を除く」ではバイク(原付・二輪)は通れないこと。自転車は軽車両ですが、原付・二輪は軽車両ではないからです。
「自転車・原付を除く」はその中間で、原付までは通れてもそれより大きいバイクは対象外。バイクが無条件で逆走していいのは「二輪を除く」系が付いているときだけです。補助標識が無ければ、当然どの車両も逆走はできません。
なお「原付を除く」の「原付」が原付一種(〜50cc)だけを指すのか、二種(〜125cc)まで含むのかは、標識・地域によって扱いが分かれることがあります。原付二種で走っている場合は、その一点は現地の表記を確認したほうが確実です。
補助標識は車種だけでなく、時間帯でも効きます。一方通行の標識に「7:30-8:30」のような時間指定がついていて、その時間だけ一方通行、それ以外の時間は対面通行可、という道が実際にあります。
商店街などでは、時間で向きそのものが入れ替わる「逆転式一方通行」まであります。つまり同じ道でも、時間帯によって「逆走になるかどうか」自体が変わることがあります。
ナビは、こうした補助標識までは基本的に見ていません。車種や時間帯の条件を考慮しないぶん、「本当は通っていい道を遠回りさせられる」ことも、「条件が変わる時間帯に気づかず通ってしまう」こともあり得ます。
ナビより、現地の標識の下側と、掲示されている時間帯を見る癖——これがいちばん確実です。
バイクは「押して歩けば歩行者」──ただしエンジンは切るのが確実
もう一つ、バイク配達でよく使う逃げ道が「降りて押す」です。ぐるっと迂回するより、降りて押していったほうが速い場面がありますよね。これは法律上、根拠があります。
道路交通法の第2条3項では、「二輪の原動機付自転車」や自動二輪車などを押して歩いている者は、歩行者とすると定められています。つまり降りて押している間は歩行者扱いで、一方通行の逆走にはあたりません。
これは自転車でも同じです。条文は「二輪又は三輪の自転車」も明記しているので、降りて押せば歩行者。しかも自転車にはエンジンがない分、このあと触れる「エンジンの扱い」のようなグレーゾーンがなく、押せば歩行者、で話が終わります。
ただし一つ、配達で気をつけたい例外があります。三輪の原付(ジャイロキャノピーなど)は、押して歩いても歩行者になりません。
条文が挙げているのは「二輪の原付」だけで、三輪の原付は対象外だからです。キャノピーで配達している人は、この"押し歩きの逃げ道"が使えません(同じ三輪でも"自転車"なら、押せば歩行者としてOKです)。
そして、バイク・原付の押し歩きでいちばん曖昧なのがエンジンの扱いです。ここは正直に書くとグレー。条文は「押して歩いている者」としか言っておらず、エンジンを切れとは書いていません。文言だけ見ればエンジンがかかっていても歩行者です。
一方で、エンジンがかかったまま=いつでも発進できる状態は「運転」と見られる余地があり、その場合は歩行者と扱われない、という指摘もあります。条文に明文がない以上、白黒つけきれない領域です。
なので実務的な結論はシンプルで、押すならエンジンを切るのが確実。切って押していれば、少なくとも「運転していた」とは言われません。急いでいるとつい繋いだまま押しがちですが、そこだけひと手間かけておくと安全側に倒せます。
迷ったら、逆走しないルートに戻すのが結局速い
まとめると、こういう順番で見ると事故りにくいです。
- ナビが出した道でも、一方通行の標識とその下の補助標識を確認する
- 「自転車を除く」等で自分の車両が除かれていれば、そのまま通れる
- 除かれていない/補助標識が無いなら、逆走はしない。バイクならエンジンを切って押すか、素直に迂回する
バイク(原付・二輪)に乗っている人は、逆走が認められるのは「二輪を除く」系だけ、と覚えておけば十分です。それ以外は回るか押すか。
自転車で走っている人は、補助標識の一文字で扱いが変わるので、標識の下側まで目を落とす習慣をつけておくと、6,000円の"うっかり"を避けやすくなります。
急ぐほど標識を飛ばしたくなりますが、逆走で止められて事情説明に時間を取られるほうが、結局は遅い。ナビより標識、が地味に効きます。
道順そのものの組み立て方は「配達の道順:ナビに頼らず1件を速く終わらせる」にまとめているので、あわせてどうぞ。
出典
- 道路交通法(e-Gov 法令検索)第2条(押して歩く二輪車等が歩行者にあたること)・第8条(通行禁止)ほか
- 警察庁 自転車ポータルサイト「自転車の新しい制度」(2026年4月1日からの交通反則通告制度・対象年齢16歳以上)
- 警察庁「自転車をはじめとする軽車両の反則行為と反則金の額」(通行禁止違反6,000円・信号無視6,000円・指定場所一時不停止等5,000円・携帯電話使用等(保持)12,000円)
- 補助標識の指定は各都道府県公安委員会によります。表示は地域により異なるため、現地の標識を必ず確認してください。制度・反則金は改正されることがあるため、最新の公式情報をご確認ください。
※本記事は一般的な情報の整理です。交通ルールの適用は状況により異なります。交通ルールは必ず順守してください。