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配達中のイヤホン
片耳ならセーフ?

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配達中のイヤホン、片耳ならセーフ?47都道府県の規則を調べた
この記事の目次
  1. 1.片耳なら大丈夫なのか
  2. 2.ルールは県ごとに決まる
  3. 3.47都道府県を並べてみた
  4. 4.バイクと原付の場合
  5. 5.違反したときの重さ
  6. 6.配達中の現実的な使い方
  7. 7.まとめ
  8. 8.出典

片耳にイヤホンを入れて、アプリの通知音や道案内を聞きながら走る配達員は多いと思います。気になるのは、それが違反になるかどうかです。

結論から書くと、片耳か両耳か、骨伝導かでは決まりません。基準は「安全な運転に必要な音や声が聞こえるか」で、警察は見た目だけで決めず、声をかけたときの反応などから個別に判断します。

ただ、その基準を書いた条文は都道府県ごとに違います。自転車にしか適用しない県もあれば、「両耳」を例に挙げる県もあります。

47都道府県のうち43件を、規則の原文か県警の資料で確認しました。その結果と、配達中にどう考えればいいかを整理します。

片耳なら大丈夫なのか

片耳だから大丈夫、とも、片耳でも違反、とも言い切れません。判断の軸が別のところにあるからです。

警察庁は2023年、イヤホンを使う自転車の取締りについて全国の警察に通達を出しています。そこでは使用形態ではなく、聞こえているかどうかで判断するよう指示しています。

イヤホン等を使用した自転車利用者に対する指導取締りに当たっては、イヤホン等の使用という外形的事実のみに着目して画一的に違反の成否を判断するのではなく、例えば、警察官が声掛けをした際の運転者の反応を確認したり、運転者にイヤホン等の提示を求め、その形状や音量等から、これを使用して自転車を運転する場合に周囲の音又は声が聞こえない状態となるかどうかを確認したりすることにより、個別具体の事実関係に即して違反の成否を判断すること。

同じ通達は、片耳だけの場合や、両耳でもごく小さな音量の場合は、周りの音が聞こえている可能性があるとしています。オープンイヤー型や骨伝導型も、性能や音量によっては聞こえうる、という書き方です。

裏を返すと、片耳でも音量が大きく、呼びかけに気づかなければ違反と判断されえます。

片耳かどうかより、周りの音が聞こえているかが問われます。

ルールは県ごとに決まる

道路交通法には、イヤホンを名指しした条文がありません。71条6号が「公安委員会が必要と認めて定めた事項」を守るよう定め、中身を各都道府県の公安委員会規則に任せています。

その規則の多くに、イヤホン等を使って安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態で運転しない、という号があります。音量の数値(デシベルなど)を決めた県は1つもありません。

では、取締る側の主観で決まるのか。ある程度はそうです。数値がない以上、その場で聞こえ方を確かめるしかありません。

その分、判断の幅を絞る公式文書もあります。岩手県警の解釈通達は、形状や片耳・両耳を問わず「音量等から周囲の音や声が聞こえない状態となるかどうかについて個別に判断しなければならない」としています。処罰するのは故意の場合だけ、とも明記しています。

取締りそのものの考え方は、これとは別の話です。警察庁の説明では、自転車の違反は基本的にその場での指導警告で、検挙の対象になるのは悪質・危険な違反です。その例として、警察官の指導警告に従わない場合が挙がっています。

高知県警も、危険性が高い違反や、警察官の指示に従わずに違反した人を積極的に取り締まる方針を公表していて、同じ考え方です。

47都道府県を並べてみた

各都道府県の規則を例規集などで確かめると、書き方にかなり差がありました。規則の原文で確認できたのが36、県警の公式ページや広報物で確認できたのが7です。静岡・奈良・島根・大分の4県は、原文にたどり着けず未確認です。

自転車にしか適用しない県がある

青森・岩手・秋田・山形の4県は、イヤホン等の規定の対象を自転車に限っています。対象を確認できたほかの県の多くは「車両」「車両等」と書いていて、車もバイクも自転車も対象です。

バイクや原付で走る配達員にとっては、ここが一番大きな差です。ただし「4県ならバイクは自由」ではありません。次の節で扱います。

「両耳」と書く県がある

秋田は「イヤホンを使用して両耳をふさぐ等周囲の音が十分に聞こえないような状態」、新潟は「イヤホン若しくはヘッドホンを使用して両耳を塞ぎ」と書いています。

これは例示で、片耳なら適法と定めたものではありません。とはいえ、条文を読んだ人が「片耳ならいい」と受け取りやすい書き方ではあります。

求める聞こえ方の水準が違う

大半の県は「聞こえないような状態」ですが、秋田は「十分に聞こえないような状態」、岡山は「聞くことが困難な状態」と書いています。

完全に聞こえない、まで行かなくても当てはまりうる書き方です。ただ、文言に差はあっても、実際の取締りで判断に差が出ているかは確認できていません。

警察官の指示と書く県がある

三重・大阪・和歌山・広島は、聞こえるべき音として警音器や緊急自動車のサイレンと並べて「警察官の指示」を挙げています。

通達の「声をかけたときの反応を見る」と、そのまま対応する書き方です。

イヤホンの語がない県もある

佐賀は「ラジオ等を聞きながら」、山口は「カーステレオ等を聞きながら」で、条文にイヤホンという語が出てきません。「等」で読めるので対象外にはなりませんが、書かれた時代の古さが見えます。

東京・群馬・岐阜・愛媛は、今も「イヤホーン等を使用してラジオを聞く等」のままです。規則の書かれた時代が、一番よく出ているところかもしれません。

47都道府県の一覧を見る(タップで開く)

「対象」は規定が及ぶ車両です。「確認」は、原文=規則の原文、県警=県警の公式ページ・広報物、未確認=原文にたどり着けなかった県。

都道府県対象文言の特徴確認
北海道車両音楽を聴くなど原文
青森自転車ヘッドホン等・大きな音量原文
岩手自転車ヘッドホン等原文
宮城車両音楽を聞くなど原文
秋田自転車両耳をふさぐ等・十分に聞こえない原文
山形自転車音楽等を聞くなど原文
福島車両等聞くことができない状態原文
茨城自動車・原付・自転車音楽等を聴くなど原文
栃木車両音楽を聴く等原文
群馬車両ラジオを聞くなど原文
埼玉車両ラジオ等を聴くなど原文
千葉車両音量を上げ音楽等を聴くなど県警
東京車両等ラジオを聞く等原文
神奈川自動車等(自転車含む)大音量やイヤホンで音楽を聴くなど県警
新潟車両等両耳を塞ぎ原文
富山車両音楽等を聞き原文
石川車両等音楽等を聴き原文
福井車両等音楽を聞く等原文
山梨車両外部の音声が聞こえない原文
長野車両交通に関する音声が聞こえない原文
岐阜車両ラジオを聞く等原文
静岡--未確認
愛知車両等音楽等を聞くなど原文
三重車両警察官の指示を明記原文
滋賀車両イヤホーン等を使用して聞く等原文
京都車両等聞くことができない状態原文
大阪車両警察官の指示を明記原文
兵庫自転車(県警ページの記述)大音量で音楽を聴くなど県警
奈良--未確認
和歌山車両警察官の指示を明記原文
鳥取車両カーステレオ等をイヤホーンで聞く等原文
島根--未確認
岡山車両等聞くことが困難な状態原文
広島車両警察官の指示を明記県警
山口車両イヤホンの語なし原文
徳島車両音楽、音声その他の音響原文
香川車両等ヘッドホン等原文
愛媛車両等ラジオを聞く等原文
高知自転車(県警チラシの記述)交通の音等が聞こえない県警
福岡自転車(県警ページの記述)警察官の指示を例示県警
佐賀車両イヤホンの語なし原文
長崎車両等音楽を聞く等県警
熊本車両等カーラジオを聞く等原文
大分--未確認
宮崎車両ラジオ等を聞くなど原文
鹿児島車両等ヘッドホン、イヤホン等原文
沖縄車両音楽等を聞くなど原文

兵庫・高知・福岡は、県警の案内が自転車向けに書かれているだけで、規則の対象が自転車に限られるかは確認できていません。調査日は2026年9月26日です。

バイクと原付の場合

対象を確認できた県の多くでは、イヤホンの規定は車両全般に及びます。バイクや原付も、「安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態」かどうかが問われる点は自転車と同じです。

ただ、声かけへの反応や音量で確かめるといった手順は、自転車の取締りについての通達に書かれたものです。バイクや原付も同じ手順で判断されるとまでは言えません。

問題は、対象が自転車だけの4県です。青森・岩手・山形の規則には、車やバイクの「音」に関する遵守事項がありません。秋田だけは別の号で「カーラジオ等を高音にして、安全運転に支障のある状態で車両を運転しないこと」と定めています。

それでも「4県ならバイクのイヤホンは問題ない」とは言えません。どの県でも、道路交通法70条の安全運転義務がかかるからです。

安全運転義務は、装置を確実に操作し、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転する、という一般的な義務です。イヤホンをしているだけで違反になるものではありませんが、聞こえないせいで危ない運転になれば問われます。

事故になれば、反則金では済まない話になります。事故直後の動き方は事故にあったときの最初の動きにまとめています。

イヤホンを名指しした規定がない県でも、聞こえないまま走って危なければ別の違反になります。

違反したときの重さ

イヤホンの規定に違反すると「公安委員会遵守事項違反」になります。違反点数はつきません。

区分反則金点数
公安委員会遵守事項違反(二輪)6,000円0点
公安委員会遵守事項違反(原付)5,000円0点
公安委員会遵守事項違反(自転車)5,000円-
安全運転義務違反(二輪)7,000円2点
安全運転義務違反(原付)6,000円2点

自転車は2026年4月から反則金(青切符)の対象になりました。反則金を払わなければ刑事手続きに進み、イヤホンの規定の違反は5万円以下の罰金です。

ただし自転車の場合、イヤホンをしているだけで直ちに違反になるわけではない、と警察庁は説明しています。聞こえない状態の違反だけでは取締りを受けず、交通の危険が生じたときに取締りの可能性がある、という整理です。違反があってもまずは指導警告が基本で、警告に従わずに続ければ検挙の対象になりえます。

なお、スマホを手に持って通話したり画面を注視したりするのは、イヤホンとは別の違反です。自転車でも反則金は12,000円で、こちらのほうが重く扱われています。

反則金は配達の経費にはなりません。1回で配達数件分の売上が消える計算です。

配達中の現実的な使い方

ここまでを踏まえると、配達中にイヤホンを使うなら次の形が現実的です。

  • 片耳にして、反対の耳は空けておく
  • 通知音と道案内が聞こえる最小の音量にする
  • 音楽や動画の音声を流すなら、呼びかけに気づける音量まで下げる
  • 呼び止められたら、まずイヤホンを外して応じる

通知音を聞き逃したくない気持ちはよく分かります。ただ、そのせいで警察官の呼びかけやクラクションに気づけないのは本末転倒です。

まとめ

配達中のイヤホンは、片耳か両耳か、骨伝導かでは決まりません。警察は声かけへの反応などから「周りの音が聞こえているか」を個別に判断します。

ただ、条文の書き方は県ごとに違い、自転車だけが対象の県や、求める聞こえ方の水準が高い県もあります。自分が走る県の書き方は、一覧で一度確かめておくと安心です。


※この記事は2026年9月26日時点の規則をもとにした一般的な情報の整理です。規則は改正されることがあり、個別の判断は各都道府県警察の案内を確認してください。

出典

各都道府県の規則(タップで開く)

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