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配達中にケガで走れない。
その間の収入、労災「特別加入」で補える?

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Dice

現役配達員が運営

配達中にケガで走れない。その間の収入、労災「特別加入」で補える?
この記事の目次
  1. 1.労災はそもそも雇われている人の制度
  2. 2.個人事業主が入る例外が「特別加入」
  3. 3.いつから配達員が対象になったか
  4. 4.車両で入口が変わる
  5. 5.何が「業務中」のケガに入るか
  6. 6.補償は一律 違うのは手数料だけ
  7. 7.労災は事故の形を選ばない
  8. 8.会社員をしながらでも入れる
  9. 9.団体はブランド名でなく厚労省の一覧で選ぶ
  10. 10.まとめ
  11. 11.出典

配達は、体が資本の仕事です。元気に走れているうちは、あまり考えないかもしれません。

でも、いざ配達中の事故でケガをして、しばらく走れなくなったら。治療費がかかり、その間は稼げません。とくに相手のいない自損事故だと、誰かが払ってくれるわけでもなく、そのまま収入が止まるのが基本です。

会社員なら、こういうときに労災(労働者災害補償保険)が効きます。でも配達員の多くは個人事業主で、そのままでは労災に入っていません。この空白を自分で埋める選択肢が「特別加入」という制度です。現場でも「入るべきか」「どれに入るか」が繰り返し話題になるテーマなので、仕組みを整理しておきます。

労災はそもそも雇われている人の制度

労災保険は、事業に「雇われて働く人」を守るための制度です。保険料は雇い主が負担し、業務中や通勤中のケガ・病気・障害などを補償します。

配達員はプラットフォームから業務委託を受けて働く個人事業主なので、この原則のままでは対象になりません。走っている最中の事故も、原則は自分の民間保険か自腹、という立ち位置です。

個人事業主が入る例外が「特別加入」

その例外が特別加入です。一人親方や特定のフリーランスなど、実態として労働者に近い働き方をする人が、任意で労災に入れる仕組みです。

入っておくと、業務中の事故で療養(治療費)や休業、障害・遺族への給付といった労災の補償を受けられます。民間の傷害保険とは別枠で、公的な補償が土台にできるのが大きな違いです。

いつから配達員が対象になったか

配達員まわりでは、対象が段階的に広がってきました。

  • 令和3年(2021年)9月1日から、自転車を使う配達員が特別加入の対象に。
  • 令和6年(2024年)11月1日から、業務委託を受けて働く「フリーランス」(特定受託事業従事者)が幅広く対象に。

つまり今は、自転車でも原付でも軽貨物でも、配達で走る人が入れる下地はそろっています。

車両で入口が変わる

ここが見落とされやすいのですが、同じフードデリバリーでも、使う車両で加入ルートが分かれます

  • 自転車での配達は、自転車を使う貨物運送の枠。
  • 原付・バイク・軽貨物での配達は、原動機付自転車や自動車を使う貨物運送(いわゆる一人親方の貨物運送)の枠。50ccでも125ccでも、エンジンのついた車両はこちら側です。

注意したいのは、2024年にできた「特定フリーランス事業」という枠では、原付・バイクや自動車を使うフードデリバリーは対象外とされている点です。「フリーランス労災」と名のつく団体なら何でもいい、という話ではありません。自分がどの車両で走っているかで、入るべき区分が変わります。

何が「業務中」のケガに入るか

労災(特別加入)が補償するのは、業務中に起きた災害です。ここで押さえておきたいのは、対象が車両の交通事故に限られないこと。

配達物を持って階段で転んだ、荷物を積み下ろすときに腰を痛めた、夏場に配達中の熱中症で倒れた——こうしたケガや体調不良も、業務によるものと認められれば対象になりえます。事故の「形」ではなく、業務の最中に起きたかどうかで見るのが基本です。

では、店にピックへ向かっている移動中はどうか。注文を受けて店に向かい、商品を受け取って届けるまでの一連は、配達業務として扱われるのが基本の考え方です。ただし特別加入では、補償される範囲が加入時に申請した業務の内容に紐づき、最終的には個別のケースを労働基準監督署が「業務中の災害と言えるか」で判断します。

線引きが曖昧になりやすいのは、アプリをオンにして待機しているだけの時間や、業務と関係ない寄り道の最中など。ここは一律に決めにくいので、気になる人は加入する団体や労働局に、自分の稼働スタイルで確認しておくと安心です。

補償は一律 違うのは手数料だけ

配達員の労災「特別加入」の3層構造:全国一律の補償/自分で選ぶ給付基礎日額/団体で違う手数料

「A社の労災は補償が弱い」「B社のほうが手厚い」といった声を現場で聞きます。でも労災(特別加入)の中身は国の制度なので、実は団体では変わりません。3つに分けると整理できます。

  1. 補償の中身(治療費・休業・障害・遺族への給付など)は法律で一律。どの団体を通しても同じで、強い・弱いの差はありません。
  2. 給付額は保険料次第。所得に応じて給付基礎日額(3,500〜25,000円の16段階)を選び、高い日額ほど保険料も給付も大きくなります(「日額◯◯円コース」はこの選択のこと)。
  3. 団体で違うのは手数料。国の労災に入るために団体へ払う入会金・組合費は、団体ごとに差があります。

補償の中身は一律で、給付額は選ぶ日額(=払う保険料)で決まる。団体ごとに違うのは手数料だけ。「補償が弱い・強い」と言われても国の労災そのものは同じなので、実際に見比べるべきは手数料です。

ひとつ勘違いしやすいのが、給付の中身。治療費は日額に関係なく全額出ます(健康保険のような自己負担はなし)。一方、日額で増減するのは休業や障害・遺族の給付のほうです。しかも休業は「日額まるまる」ではなく、1日あたり日額の8割(給付6割+特別支給金2割)。支給は働けない4日目からで、最初の3日は待期として出ません。たとえば日額10,000円なら、休業は1日8,000円の計算です。

国に納める保険料は「給付基礎日額 × 365日 × 保険料率」で決まります。配達(自転車・原付などを使う貨物運送)の料率は1,000分の11(令和6年11月時点)。日額ごとの本体はこのくらいです。

給付基礎日額国に納める保険料(年・本体)
3,500円(最低)約14,000円
10,000円40,150円
25,000円(最高)約10万円

ただし、実際に払うのはこれだけではありません。ここに団体の組合費(手数料)が上乗せされます。手数料は団体ごとに差があり、低い日額では本体と同じくらい乗ることもあります(支払総額が倍近くになる場合も)。加入前に、団体ごとの月額・年額の"総額"で見比べてください。

労災は事故の形を選ばない

事故には、単独で転ぶ自損事故もあれば、相手がいる事故もあります。労災(特別加入)の強みは、どちらでも給付が出ることです。

自損でも、相手がいても、さらに自分に過失があっても、労災の療養・休業給付は出ます。とくに労災は、自分の過失があっても給付を減らされません(過失相殺がない)。

変わるのは「相手の保険」のほうです。相手の任意保険は、相手がいて初めて出るうえに、自分の過失の分だけ減らされます。たとえば損害が10万円でも、自分の過失が3割なら出るのは7万円ほど。ガードレールに突っ込んだ自損なら、そもそも相手の保険はゼロです。

だから、自損や自分の過失が大きい事故ほど、相手の保険で埋まらない穴が出ます。そこを、事故の形を問わず出る労災がカバーできる——ここが労災を持っている意味です。

ただし、同じ休業の損害について、相手の保険と労災の両方から満額もらう二重取りはできません。給付は調整される仕組みで、実務上は「どちらで受けると有利か」を整理する話になります。

もう一つ見落としやすいのが、自分の任意保険との兼ね合いです。個人で入っているバイクや車の任意保険は、"業務使用"や配達中の事故を対象外にしている商品があります。「保険に入っているから大丈夫」が配達中は効かないことがあるので、約款や特約の範囲は一度確認しておきたいところです。自転車の場合、自転車保険は主に相手への賠償をカバーするもので、自分のケガや休業は労災や人身傷害の担当、と役割が分かれます。

会社員をしながらでも入れる

「本業で会社員をしているけど、副業の配達では入れないのでは」と思う人もいますが、入れます

特別加入は「配達の仕事」に対して入るものなので、別に給与があること自体は妨げになりません。さらに複数事業労働者の制度により、本業の給与と副業(特別加入)の両方で補償を受けられ、休業補償の計算も両方の収入をもとに考えられる形になっています。

本業は会社の労災、配達は特別加入で、どちらもカバーする——ダブルワークの配達員はむしろ制度上、手厚くできる立ち位置です。給与と配達の組み合わせで手取りや保険料がどう変わるかは「ダブルワーク配達員が得をする制度メリット」でも整理しています。

団体はブランド名でなく厚労省の一覧で選ぶ

特別加入は個人で直接は入れず、都道府県労働局長の承認を受けた「特別加入団体」を通して申し込みます。

ここで一つ実務的な注意を。承認された団体の正式な名簿は、厚生労働省が「特別加入団体一覧表」として公開しています。ところが、サービスとして広く名前を見かける労災でも、そのブランド名では一覧に載っていないことがあります。運営会社のサービス名(ブランド名)と、労働局に登録された正式な団体名が違うためです。

実際、厚労省の一覧を当たると、フードデリバリー配達員の部会を持つ団体が正式名で載っている一方、ブランド名では引っかからないケースがあります。加入を検討するときは、広告のブランド名を鵜呑みにせず、厚労省の団体一覧で、自分の車両区分に対応した団体を正式名で確認するのが確実です。迷ったら、地域の労働基準監督署や労働局に聞くのが早いです。

まとめ

  • 配達員は労災に自動では入っていない。任意で入る「特別加入」がその受け皿。
  • 補償の中身は全国一律。差がつくのは団体の手数料と、別売りの民間上乗せ。
  • 車両(自転車/原付・軽貨物)で加入ルートが分かれる。
  • 会社員をしながらでも入れて、むしろ合算で手厚くできる。
  • 団体はブランド名でなく、厚労省の一覧+自分の車両区分で選ぶ。

制度は改正されることがあります。加入前に、下記の公式情報で最新を確認してください。

出典


本記事は一般的な情報の整理です。加入の可否や個別の判断は、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署などの公式情報でご確認ください。

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