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配達のダブルワーク
得なのは税金ではなく保険料

A

Dice

現役配達員が運営

配達のダブルワーク、得なのは税金ではなく保険料
この記事の目次
  1. 1.この話の前提
  2. 2.給与と配達に控除が両方つく
  3. 3.課税所得を出してみる
  4. 4.保険料が低く固定される
  5. 5.なぜ保険料が安いのに税金は同じか
  6. 6.専業との数値比較
  7. 7.住民税の納め方を選ぶ
  8. 8.青色申告には事前手続きが必要
  9. 9.まとめ
  10. 10.出典(国税庁・日本年金機構)

同じ400万円を稼いでも、ダブルワーク配達員は専業より手取りで差が出やすい仕組みがあります。

税金の差ではありません。差がつくのは保険料です。なぜそうなるのか、モデルケースで整理します。

この話の前提

モデルケースはこの組み合わせで整理します。

  • 週3の固定勤務(派遣・パート等)で安定した給与収入を確保
  • 需要の高い土日にフードデリバリーを稼働(土日は注文が増えるためクエストや単価が上がりやすい)
金額
給与収入(週3勤務)200万円
配達収入(土日稼働)200万円
配達の経費(ガソリン代・通信費など按分後)約30万円

ここで効いてくるのが、勤務先で社会保険(健康保険・厚生年金)に入れているかです。この記事の話は、入れていることが前提になります。

入れない場合は専業と同じく国保・国民年金になるので、後半の保険料の話はそのまま当てはまりません。週3勤務でも、労働時間や勤務先の規模によって加入できるかは変わります。

もうひとつ、勤務先が副業を認めているかも先に確認するところです。禁止されていれば、この組み合わせ自体が成立しません。

合計400万円の収入として、課税所得と保険料がどうなるかを見ていきます。

給与と配達に控除が両方つく

給与収入には給与所得控除が自動でつきます。派遣・アルバイトであれば申告不要で使えます。

金額
給与収入200万円
給与所得控除(200万×30%+8万)△68万円
給与所得132万円

配達収入には青色申告特別控除が使えます。最大65万円(2027年分からは、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存の要件を満たせば最大75万円)を事業所得から差し引ける制度です。帳簿をつけて事業所得として申告することが前提で、雑所得では使えません(区分の考え方は「雑所得と事業所得、どちらで申告するか」で整理しています)。

金額
配達収入200万円
経費(ガソリン代・通信費など)△30万円
青色申告特別控除△65万円
事業所得105万円

課税所得を出してみる

給与所得132万円と事業所得105万円で、合計所得は237万円。ここから基礎控除88万円(令和8年分)と、社会保険料控除の概算28万円を引きます。残る課税所得は約121万円です。

税率は5%、所得税は約6万円になります。

なお基礎控除の88万円は令和7年・8年分だけの上乗せで、2027年分からは58万円に戻ります。同じ2027年分から青色申告特別控除が最大75万円に上がるので、差し引きすると課税所得は約20万円増える計算です(75万円の要件を満たした場合。満たせなければ65万円のままなので、増え方はさらに大きくなります)。

実はここが重要で、所得税は専業配達員とほぼ変わりません。差がつくのは次の保険料の仕組みです。

保険料が低く固定される

社会保険料(健康保険・厚生年金)は4・5・6月の給与をもとに標準報酬月額が決まり、1年間固定されます。月収16〜17万円程度の給与収入がある場合、その金額が算定のベース。配達収入がいくら増えても、保険料は増えません。

安くなる理由はもうひとつあります。会社の社会保険は労使折半で、保険料の半分を勤務先が負担します。国保・国民年金を全額自分で払う専業とは、そもそも負担の出発点が違います。

金額以外の差もあります。会社の健康保険には、病気やケガで働けない間の傷病手当金があります。市町村の国保に法定の傷病手当金はないので、走れなくなったときにここが効きます。

一方、専業配達員は国民健康保険と国民年金を全額自己負担します。国保は前年の所得に応じて増え、国民年金(令和8年度:月17,920円)と合わせると年50〜60万円になることがあります。

ダブルワーク配達員専業配達員(目安)
所得税約6万円約6万円
保険料の年間負担約28万円約50〜60万円

所得税はほぼ同じ。保険料の負担差が、ダブルワークが手取りで有利になりやすい理由です。

なぜ保険料が安いのに税金は同じか

専業配達員は国保・国民年金が高い分、社会保険料控除も増えます。保険料が多い→控除も増える→課税所得が下がる、という構造で、結果として所得税がダブルワークと近い水準になります。

つまり「税金を節約している」のではなく、「保険料の実出費が少ない分、手取りが増える」というのが正確な理解です。

専業との数値比較

同じ収入を得た場合に、税と保険料がどう変わるかを示した目安です。稼働時間や労働効率は考慮していません。専業の国保は市区町村によって異なるため、あくまで参考値です。

ダブルワーク専業(目安)
収入合計400万円400万円
給与所得控除68万円なし
経費30万円60万円(フル稼働)
青色申告控除65万円65万円
課税所得約121万円約129万円
所得税約6万円約6.5万円
住民税約12万円約13万円
保険料の年間負担約28万円約50〜60万円
手取り(概算)約324万円約260〜270万円

手取りは収入から経費・税・保険料を引いた残りです。所得税・住民税はほぼ同じで、差がつくのは保険料と経費の2つになります。

保険料の差が22〜32万円、経費の差が30万円で、合わせて50〜60万円ほど開きます。経費の差は、専業が配達だけで400万円を稼ぐぶん走る距離が増えるからです。同じ400万円でも、配達で全額稼ぐほうが稼ぐためのコストは高くつきます。

国保は市区町村によって異なるため、専業の手取りは目安です。

なお専業には、給与所得があると入れない小規模企業共済を使えるという別の利点があります(「稼いだお金の置き場所」が参考になります)。

この表の数字は2026年分です

2027年分は両方とも基礎控除が30万円下がり、青色申告控除が10万円上がります。 額は動きますが差は変わらないので、保険料が手取りを分ける構造そのものは同じです。

住民税の納め方を選ぶ

給与所得者がダブルワークで、給与・退職以外の所得の合計が年20万円を超える場合、確定申告が必要です。このとき住民税の納め方を2つから選べます。

何も指定しなければ、配達分の住民税も給与から天引き(特別徴収)されます。12回に分けて自動で引かれるので手間はかかりません。ただし住民税額が給与だけの人より大きくなるため、そこから副業に気づかれることがあります。

確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、配達分だけ自分で納めます。職場に伝わりにくくなる一方、年4回の納付書を自分で管理することになります。

**どちらが正しいという話ではありません。**職場が副業を認めているなら、天引きのままのほうが手間は少なくて済みます。

青色申告には事前手続きが必要

青色申告を使うには、開業届と青色申告承認申請書の事前提出が必要です。手続きのタイミングは「配達員の確定申告、年間スケジュールでまるごと整理」にあります。経費の考え方は「配達員の経費、どこまで落とせる?」が参考になります。

まとめ

  • 所得税はダブルワークも専業もほぼ同じ。差がつくのは保険料の実出費と、配達で稼ぐぶんの経費。合わせて手取りに50〜60万円の開きが出る
  • 保険料が安い理由は2つ。標準報酬月額が給与だけで決まることと、半分を勤務先が負担していること
  • 前提は勤務先の社会保険に入れること。入れなければ国保・国民年金になり、話は逆になる
  • 走れなくなったときの傷病手当金は、会社の健康保険にはあって市町村国保にはない

出典(国税庁・日本年金機構)


※この記事は一般的な情報の整理であり、個別の申告内容を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。判断に迷う場合や最新の取り扱いは、国税庁の公式情報・税務署・税理士に確認してください。

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