配達員の税金・社会保険
専業・副業・扶養内の違い
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現役配達員が運営

この記事の目次
「専業なら必ず確定申告」「副業なら20万円までは何もしなくてよい」——どちらも正確ではありません。
配達員の税金と社会保険は、専業か副業かだけでは決まりません。給与収入の有無、配達の所得、勤務先の社会保険、扶養の状況を分けて考える必要があります。
制度が分かりにくい理由のひとつは、言葉の重なりです。「扶養」の一語に、所得税の扶養・社会保険の扶養・本人の申告義務という別々の話が同居しています。
さらに、制度によって「収入」と「所得」のどちらで判定するかも異なります。20万円、58万円、123万円、130万円と数字だけを並べても、全体像はなかなか見えてきません。
先に確認する4項目
判断に必要なのは、次の4項目です。
- 配達以外に給与収入があるか
- 配達の所得はいくらか
- 勤務先の社会保険に加入しているか
- 配偶者や親の扶養に入っているか
配達の「所得」は、受け取った報酬そのものではありません。原則として、配達報酬からガソリン代などの必要経費を引いた金額です。
売上と所得は別の金額
税金や税法上の扶養を判定するときは、配達アプリから受け取った報酬ではなく、必要経費を引いた後の所得を使います。
たとえば、年間の配達報酬が60万円、ガソリン代などの必要経費が15万円なら、配達の所得は45万円です。給与収入などがほかにある場合は、それぞれの所得を計算してから合計します。
判定の出発点になるのは、報酬ではなく経費を引いた後の所得です。
3パターンの早見表
| パターン | 所得税の確定申告 | 健康保険・年金 |
|---|---|---|
| 配達が主な収入 | 原則として必要 | 国保・国民年金 |
| 給与所得者+配達 | 配達の所得20万円超で必要 | 勤務先の社会保険か国保 |
| 扶養内+配達 | 本人と扶養する側で別判定 | 130/150/180万円で判定 |
いずれも目安です。判定に使う金額と条件は、以下の各セクションで整理します。
所得区分は働き方で決まらない
業務委託で受け取る配達報酬は、事業所得または業務に係る雑所得に分類されます。
区分は「専業なら事業所得、副業なら雑所得」と自動的に決まるものではありません。帳簿書類の保存、収入規模、継続性などを含め、社会通念上「事業」といえるかで判断されます。
開業届を出したかどうかと、所得税の確定申告が必要かどうかも別の判定です。開業届や青色申告承認申請書を提出しただけで、配達報酬が自動的に事業所得になるわけではありません。
青色申告を使えるのは、配達報酬が事業所得に該当し、期限までに承認申請をしている場合です。詳しくは「配達員の確定申告:雑所得と事業所得、どちらで申告するか」で整理しています。
配達が主な収入の場合
他に給与収入がない人でも、金額に関係なく所得税の確定申告が必要になるわけではありません。
所得から所得控除を差し引き、所得税を計算した結果、納める税額がある場合などに確定申告が必要です。青色申告の赤字を繰り越す場合や還付を受ける場合など、納める税額がなくても申告するケースがあります。
健康保険と年金は、勤務先の社会保険や家族の扶養に入っていなければ、原則として国民健康保険と国民年金への加入になります。国民健康保険料は前年の所得などをもとに計算されるため、所得が増えた翌年に負担が上がる場合があります。
給与を受けながら配達する場合
年末調整を受けている会社員などは、給与以外の所得が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
判定に使うのは配達報酬ではなく、必要経費を引いた後の所得。医療費控除など別の理由で確定申告をする場合は、20万円以下の配達所得も申告に含めます。
所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は原則として必要です。申告方法や申告が不要になる条件は市区町村によって案内が異なるため、住んでいる自治体での確認が確実です。
勤務先の社会保険に加入し、配達が業務委託であれば、配達所得は勤務先から受ける報酬ではないため、通常は標準報酬月額に含まれません。ただし、配達先とも雇用契約を結び、社会保険の加入対象になる場合は扱いが変わります。
この社会保険まわりの違いは「配達のダブルワーク、得なのは税金ではなく保険料」、申告手続きは「副業配達員の確定申告:20万円ルールと住民税の落とし穴」が詳しいです。
扶養内の場合
税法上の扶養と、社会保険の被扶養者は別の制度です。判定する金額も期間も違いますが、いちばん効いてくるのは超えたときに負担が増える人が違うことです。
| 超えると | 負担が増えるのは | |
|---|---|---|
| 税法上の扶養 | 親・配偶者が扶養控除を使えなくなる | 扶養する側 |
| 社会保険の扶養 | 親の健康保険から抜ける | 扶養される側(本人) |
税金のほうは、本人ではなく親や配偶者の税額が上がります。本人にかかる所得税は、扶養とは関係なく稼いだ分だけ元々かかっています。
保険料のほうは逆です。本人が自分で国民健康保険と国民年金に入り、支払いが始まります。親の負担は変わりません。
超えた瞬間の効き方も違います。
| 超えた瞬間 | |
|---|---|
| 税金 | なだらか。配偶者特別控除や特定親族特別控除で段階的に減る |
| 社会保険 | 崖。少し超えただけで本人に年20〜30万円の保険料が発生する |
「130万円の壁」がよく話題になって「123万円の壁」がそこまででもないのは、この差です。税金側は超えても急に損はしませんが、保険側は超えた時点で実費が出ます。
税法上の扶養
2025年分以後、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は、原則として合計所得金額58万円以下です。
「123万円以下」は、収入が給与だけの場合の換算額です。長く「103万円の壁」と呼ばれてきた数字が、2025年分から123万円に上がりました。
配達の場合はこの換算が使えません。ここで間違えやすいのが、58万円は売上ではなく、経費を引いた後の所得だという点です。受け取る報酬が58万円を超えても、それだけで扶養から外れるとは限りません。
どれくらい差が出るかは車種次第です。自転車で装備も揃っているなら経費は小さく、売上とほぼ同じ額になります。バイクや車ならガソリン・保険・整備が乗る分、その差が広がります。
なお58万円を超えても、すべての控除が直ちになくなるとは限りません。配偶者特別控除や特定親族特別控除が使える場合があり、扶養する人との関係や年齢によって確認が必要です。
社会保険の扶養
社会保険の被扶養者は、一般に今後1年間の収入見込みが130万円未満であることが基準です。
ただし、被保険者の配偶者を除く19歳以上23歳未満の人は150万円未満、60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満になります。年齢以外にも、扶養する人との収入関係などの条件があります。
2026年4月から始まった労働契約の内容による判定も、給与以外の収入が見込まれないことが前提です。配達の事業収入がある場合は、必要経費の扱いを含め、加入先の健康保険組合や年金事務所への確認が必要です。
学生は本人の申告と親の扶養を分ける
学生でも、配達所得が自動的に非課税になったり、確定申告が不要になったりするわけではありません。
確認するのは次の3点です。それぞれ別の基準で判定されます。
1. 本人に所得税の申告が必要か
アルバイト給与と配達報酬を同じ「年収」として単純に足すことはできません。給与所得と、配達報酬から必要経費を引いた所得を、それぞれ計算してから合計します。学生には勤労学生控除もあり、条件を満たせば27万円を差し引けます(2025年分から。それ以前は75万円以下)。条件は3つで、合計所得金額が85万円以下であること、そのうちアルバイトや配達など働いて得た所得以外が10万円以下であること、そして特定の学校の学生であることです。
2. 親が扶養控除を受けられるか
上の「税法上の扶養」と同じ58万円で判定します。超えた場合でも、19歳以上23歳未満なら特定親族特別控除で一部が残ることがあるので、外れた時点で諦めずに確認するところです。
3. 親の健康保険の被扶養者を続けられるか
19歳以上23歳未満は年間収入150万円未満が基準です。配達の事業収入で必要経費をどう扱うかは、加入先の健康保険組合への確認が必要です。
まとめ
- 専業か副業かは判断の入り口にすぎない。所得と、いま加入している健康保険を分けて確認する
- 「扶養」は3つの別々の話。所得税の扶養、社会保険の扶養、本人の申告義務は基準も期間も違う
- 判定に使うのは受け取った報酬ではなく、必要経費を引いた後の所得
- 所得区分は働き方では決まらない。帳簿の保存や収入規模から総合的に判断される
- 社会保険の被扶養者は130/150/180万円に分かれる。年齢と扶養する人との関係で変わる
関連記事
| 確認したいこと | 詳細記事 |
|---|---|
| 雑所得か事業所得か | 雑所得と事業所得、どちらで申告するか |
| 給与所得者の20万円ルール | 副業配達員の確定申告 |
| 給与と配達を組み合わせる場合 | 配達のダブルワーク、得なのは税金ではなく保険料 |
| 必要経費の考え方 | 配達員の経費、どこまで落とせる? |
出典(国税庁・厚生労働省・日本年金機構)
- 申告が必要かなどを調べる(国税庁)
- 所得税基本通達・事業所得と雑所得の区分(国税庁)
- 令和7年度税制改正による扶養親族等の所得要件(国税庁)
- 配偶者控除(国税庁)
- No.1175 勤労学生控除(国税庁)
- 標準報酬月額(日本年金機構)
- 2026年4月以降の被扶養者認定(日本年金機構)
- 19歳以上23歳未満の被扶養者認定(厚生労働省)
※この記事は一般的な制度の整理であり、個別の申告内容や被扶養者認定を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。判断に迷う場合は、国税庁、税務署、市区町村、加入先の健康保険組合または年金事務所にご確認ください。
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